壊すのが仕事!?解体工事の手順や決まり事について
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皆さんは解体工事にどんなイメージをお持ちですか?ぼんやり何かを取り壊すことは知っているかもしれませんが、実は解体工事といっても種類があったり、細かく手順が決められていたりします。
解体工事の現場では、具体的にどのような工事が行われているのでしょうか?

今回はそんな解体工事についてご紹介します!解体途中の現場の写真なども撮ってきましたのでぜひご覧ください!
目次
解体工事について
解体工事とは?
解体工事とは家屋や建物などを建て替えたり新築工事をする際に元の古い建造物を取り壊し撤去する工事のことです。建設現場において最初の仕事はまず解体工事からスタートします。
他にもリフォームなどで部屋の内装の一部分を壊す内装解体や建造物周りの塀や柵の撤去する工事なども解体工事となりますので、解体工事といってもさまざまな種類があります。
解体工事の注意点
解体工事はただやみくもに建造物を壊せばよいわけではありません。正しい手順を踏んで作業を行わなければ、近隣の方に迷惑をかけてしまう恐れがあります。
例えばほこりや騒音、アスベストの問題があるため、細心の注意を払っていなければ健康被害を与えてしまう可能性もあります。他にも壊す手順を間違えてしまうと建造物が倒壊したりと作業者や近隣の方々の安全性の問題にも繋がってしまいます。

解体工事において作業手順はとても大事なことなんですね!では、その作業手順をみていきましょう!
解体工事の作業手順
まず最初にすべきことは現場の近隣へのあいさつ回りです。解体工事では、工事中どうしても騒音やほこりなどが出てしまい、近隣の方に少なからず迷惑をかけてしまいます。よって、作業は近所に工事が始まるのを伝えてから開始されます。
作業工程は以下の順番で作業が進められます。
- 足場養生の組み立て、防音シート
- 建造物内部の解体(内装解体)
- 重機械を使用して建造物本体の解体
- 廃材の分別及び搬出
- 整地にて解体工事終了

すぐに重機で解体を始めるのではなく、下準備がたくさんあったり、周囲の方々にも細心の注意を払われているんですね!
足場養生の組み立てと防音シートの設置
本格的に建造物を取り壊す前にまず、高いところで作業を行うための足場を組み立てます。近隣への配慮として、騒音やほこりが飛散するのを最小限に抑えたり、隣接する建物を傷つけないように防音シートをかぶせます。
建造物の手作業解体
建造物の内部から壁紙、建具、畳、木材、畳、断熱材、石膏ボード、瓦、残置物(ゴミ)などをすべて撤去します。そして外部も同じく手作業で解体できるものを撤去していきます。
この際にアスベストを使用している建造物がある場合、特別な作業が必要になります。
重機械を使用して建造物本体の解体
手作業でのを撤去が終ったら、いよいよ重機械の出番です。重機械を使って手作業では解体しきれない、屋根、壁、柱などを撤去します。この際にほこりが飛散するのを最小限に抑えるため、水をまきながら作業を行います。
地面がコンクリートやアスファルトなどで舗装されているところにも、下に基礎や杭が埋まっている場合があるので全て解体します。
廃材の分別及び搬出
解体工事によって出た廃材をコンクリートガラ、鉄、木材、プラスチックなどに分別し、トラックやダンプカーで搬出します。
その後は土などにコンクリートガラや廃材が残ってないか確認し、問題なければ整地をして解体工事は終了となります。

普段解体現場を見ることはありませんが、改めて解体現場を見ると取り壊すことのスケール大きさに驚かされました……
解体工事に手作業が必要な理由は?

解体工事に重機だけでなく、人の手が必要になる理由は何でしょうか?
建造物はさまざまな資材が使われて一つの建造物になっています。日常生活において、プラスチック、燃えるゴミ、生ごみなどの家庭から出たゴミはさまざまな種類に分別されていますが、それと同じく、解体工事で出た廃棄物についても取り扱いが法令で決められています。
建設リサイクル法(正式名称「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」)は、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等を目的に、平成12年5月31日公布されました。
その主な内容は、次の3点です。
1.建築物等に使用されている建設資材に係る分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の義務付け
2.発注者又は自主施工者による工事の事前届出、元請業者からの発注者への書面による報告の義務付け
3.解体工事業者の登録制度や技術管理者による解体工事の監督
解体工事業者の登録制度等については、平成13年5月30日から施行されており、その他の部分(分別解体等及び再資源化等の義務付け、工事の事前届出等)については平成14年5月30日から施行になります。
なお、分別解体等及び再資源化等に対する命令違反や、届出、登録等の手続きの不備等については、所要の罰則規定が適用されます。
引用元:http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/seisaku/recy/recy_01.htm
上記の法令にもとづき、廃材は解体後分別し、処理をしなくてはなりません。大まかに、コンクリートガラ、鉄、木材、プラスティックなどに分別して廃棄物業者やリサイクル業者に運搬します。
ですので、解体工事の一番最初に重機械を使ってしまうと細かい作業が行えず、本来分別しなければならない資材が混ざって分別できなくなってしまいます。最初は重機械を使わずに、手作業で解体工事始めることが基本となっています。

解体工事施工技士については、こちらの記事で紹介しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください!
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近年注目を浴びている解体工事施工技士の資格。具体的にどういったところで使えるのかや、合格難易度・勉強方法もご紹介しております。
解体作業時の服装とは
服装
解体工事の現場では常に危険と隣り合わせになり廃材の中には飛び出ていたり、尖っていたりとさまざまな危険物があります。そのため肌が露出しているとケガをする可能性があるため季節に関係なく長袖、長ズボンの作業服が基本です。
ヘルメット
頭の保護にヘルメットは欠かせません。上から物が落ちてきたり頭をぶつけたりしたときにヘルメットが頭を守ってくれます。
靴
靴は安全靴を使用します。安全靴とは、靴のつま先の部分に鉛や樹脂などが入っていて、つま先に物を落としても保護されるようになっています。解体現場では、足元が大変悪く、ガラスや釘などが落ちていることもあります。
釘などを踏んでしまうと簡単に靴を貫通してケガしてしまいますので、中敷きに鉄などを敷いて足を守る靴をはいています。
マスク
解体現場では、ほこりなど体に害があるものを吸ってしまうこともあります。なので作業中は、マスクを使用して作業を行います。
マスクといっても日常生活で使う紙マスクでは菌は防げても、粉じんは防げません。そこで防塵マスクと言ってほこりや粉じんを吸い込むのを防ぐ特別なマスクを使用します。
手袋
素手で解体した物を触ってしまうと、釘やとげなどが刺さりケガをしてしまいます。そのために作業中は常に手袋を使用します。

解体作業は作業員の方にも危険がいっぱいなので、服装からしっかりと準備が必要なんですね!
まとめ

今回お話した解体工事についてまとめます!
- 解体工事には建物すべてを取り壊す工事と、内装だけを取り壊す工事など種類がある
- 解体工事前には周囲への迷惑を最小限にするための配慮がされている
- 解体工事は手順が細かく決まっており、しっかりと守らなければならない
- 作業員にも危険があるため、作業服から特別なものを着用する必要がある
今回は解体工事の流れや、周辺への配慮、安全のための服装についてお話させていただきました。町で見かけるシートやフェンスで囲われた解体工事現場の中について、イメージしやすくなっていただけましたでしょうか?
解体工事は作業員の安全はもちろん近隣の方々の安全や生活に配慮しながら作業しなくてはなりません。今後ご自身で家を建て替えたり、リフォームの依頼をするときは、今回のお話を思い出してみてください。
以上、とまこがお送りしました!次回もお楽しみに!