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こんにちは、POPCONEのあすかです!
近年多発している自然災害の影響により、私たちの目に見えない土の中では地割れや液状化などが起きています。建物を建てる上で特に注意しなくてはならない箇所は土の中、すなわち地盤です。軟弱地盤であったり液状化現象が出るようでは、建物の構造に問題がなくても安心安全とは言えません。

今回はそんな目に見えない土の中を見抜くプロ、地質調査技士についてお伝えしていきます!
地質調査技士の仕事
建物を建設する場合、対象となる土地の地盤調査を行う必要があります。建設の工程において地質調査は一番最初の業務となりそれらの業務に従事する者として取得しておきたい資格の一つに地質調査技士があります。

それでは地質調査技士について詳しく見ていきましょう!
地質調査技士とは?
地質調査技士とは建物やトンネルなどの建設に関わるボーリング操作や現場の工程管理や安全管理、調査を行った土質の解析・分析・判定、報告書の作成など知識や技能を認定する資格です。
地質調査技士の業務内容
集める
実際の地質調査を始める前に、調査地域周辺の地形図、地質図、地盤図、空中写真などの地図・写真類及び調査報告書、工事記録、災害記録、地質文献などの既存の資料を集めます。これらは広域的・総合的な地盤状況を把握し、調査の効率的な実施と解析・判定を行う際の参考資料とします。
歩く
実際の地質調査の第一歩は、文字通り歩くことです。調査地域の地質・土質・地盤などの概要を把握するため、知識と経験のある専門の技術者がクリノメーターやハンマーを持ち、地形、露頭、転石などを観察・計測します。ルートマップを作り、最終的には当該調査地域の地質図を作成します。
探る
物理探査と呼ばれる弾性波探査や電気探査などの手法で、地震波や非抵抗を利用して地表面から地下の地質構造を探ります。最近では電磁波・音波などを利用した探査法も多用されるようになり、また非破壊で調査できることから遺跡などの調査にも応用されるようになっています。さらにこの物理探査的手法の応用技術として、地下の物性値の分布を2次元断面像に画像化するジオトモグラフィーと呼ばれる手法が実用段階に入っています。
掘る
地質調査は主として地中の不可視部分を対象としています。このため最も直接的で有力的な調査方法はボーリングです。これは実際に地盤を掘る作業であり、地中の情報をダイレクトに入手でき土質試料や岩盤のコアとして観察する他、それを用いて土質試験や岩石試験を行うことができます。また、ボーリング孔は孔内水平載荷試験や現場透水試験などの孔内計測や物理検層にも利用されます。
測る
地質調査では、原位置において各種の計測機器を用い、地盤の物理的・力学的な性質を測ります。この原位置試験にはボーリング孔を利用した試験・計測、サウンディング、その他の試験・計測があり、調査目的により適宣組み合わせて実施されます。また、地質調査には現地で採取した試料を試験室に持ち込み土質試験・岩石試験を行いその性質を明らかにする仕事があります。
整える
既存試料の検討・現地での調査・計測、室内試験が終了するとこれらの調査結果を整理し、個々のデータの評価や整合性の検討を行います。その結果に基づき土質・地質柱状図や土質・地質断面図などの図面類を作成します。
解く
すべてのデータが整理・分析された後、調査目的に応じた解析・判定を行います。その主な内容は地層及び土性の判定、土質及び地盤定数の決定、対象構造物に対する調査結果の検討、設計・施工に対する助言などで必要によってはより高次の解析が行われます。
報らせる
解析・判定などの業務が終了すると報告書を作成します。これは発注者への成果品となるもので、いわば地質調査業の商品である。その内容は発注者の望む技術的情報が的確に分かりやすく表現される必要があります。
地盤調査はなぜ必要?
安心・安全な住まいを実現するために地盤調査はとても重要です。住宅などの建築物を建てる際には、それを支えることが可能な状態の地盤が必要となってきます。そのため、地盤が建築に適しているかを調べるために地盤調査が行われます。
地盤調査を行わずに建物を建ててしまうと、建物が傾いてしまったり、場合によっては一部の保険に加入出来なかったりとさまざまな問題が浮かび上がります。地盤調査の結果、地耐力が基準値に達していればそのまま建築が可能ですが、達していない場合には地盤改良工事を実施しなくてはなりません。
地盤調査方法
地盤調査と言ってもその方法には以下のようなたくさんの種類があります。
- スウェーデン式サウンディング試験
- 標準貫入試験(ボーリング試験)
- 平板載荷試験
- オートマチックラムサウンディング試験
- ポータブルコーン貫入試験
- 三成分コーン貫入試験
この他にもまだたくさんの工法がありあすが、一般的に戸建住宅にはスウェーデン式サウンディング試験が多く使われています。また、地耐力をより正確に調べるのであればボーリング試験を行います。費用はスウェーデン式サウンディング試験に比べ高くなりますが、もし地盤に不安があればこの試験方法を行うことでより正確なデータを得ることができます。
地盤改良工事の種類
地盤調査により建物の重さを支えられる支持層の深さが判れば、次は改良工事が行われます。戸建住宅で行われる主な工法は以下の3種類です。
表層改良
地盤が強く、支持層が浅い位置にある場合(地表から2m程度まで)に用いられる工法です。地表から支持層まで間の柔らかい土にコンクリートなどを混ぜ込み、地盤を硬くすることで沈下を防ぐ方法となります。
柱状改良
表層改良では対応できない深い位置に支持層がある場合(地表より8m程度まで)に用いられる工法となります。特殊なドリルを使って地面に穴を空けながら、土とコンクリートを混ぜ込み支持層と地表までの間にコンクリート製の柱を作るという方法です。
鋼管杭
柱状改良では対応できない深さ(地表より10m以上の場合など)に支持層が存在する際に登場する工法です。非常に深い支持層まで杭を届かせることが可能なため、戸建住宅以外の鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅や、マンションなどでも施工されることが多い工法となります。工事内容は、鋼鉄製の杭を複数打ち込み支持層と地表の間に鉄柱を築いていくというものです。
地質調査技士になるには?
地盤調査の仕事に就くだけであれば特別な資格などは必要ありません。しかし、地質調査技士の資格を取得しておくと現場で活躍できるだけでなく、就職や転職の際有利になります。
地質調査技士の受験資格
現場調査部門
- ボーリングに関する機器などの操作を行う実務に関して5年以上の経歴を有する者
- 指定の専門学校および学科を卒業後、2年以上の実務経験を有する者
現場技術・管理部門
- 大学または工業高等専門学校(5年課程)の地質調査に関する過程を卒業後、3年以上の実務経験を有する者
- 大学または工業高等専門学校の地質調査に関しない理工系課程を卒業後、5年以上の実務経験を有する者
- 8年以上の実務経験を有する者
土壌・地下水汚染部門
- 大学または工業高等専門学校の地質調査および環境に関する過程を卒業後、3年以上の実務経験を有する者
- 大学または工業高等専門学校の地質調査および環境に関しない理工系課程を卒業後、5年以上の実務経験を有する者
- 8年以上の実務経験を有する者
地質調査技士の試験内容
現場調査部門(岩盤コース・土質コース)
筆記試験:四肢択一式
- 基礎知識
- 現場・専門技術
- 調査技術の理解度
- 管理技法
- 記述式問題
口頭試験
- 地質調査技士として必要な知識、経験など
現場技術・管理部門(地質調査コース・土質試験コース・物理探査コース)
筆記試験:四肢択一式
- 社会一般、建設行政などの知識
- 地質、土木・建築などの知識
- 現場・専門技術の知識
- 調査技術の理解度
- 解析手法、設計・施工への適用
- 管理技法
- 入札・契約制度、仕様書などの知識
- 記述式問題
土壌・地下水汚染部門
筆記試験:四肢択一式
- 社会一般・環境行政などの知識
- 地質、土木・建築、化学の知識
- 現場・専門技術の知識(1)
- 現場・専門技術の知識(2)
- 地盤解析、措置技術などの理解度
- 管理技法
- 記述式問題
地質調査技士の将来性
平成26年度改正の品確法を踏まえて、公共工事の品質確保を目的とした技術者資格登録制度が開始され、平成27年度には地質調査技士資格の3部門すべてが登録技術者資格として登録されました。登録された技術者資格は、国や地方公共団体などが発注する業務において、登録技術者資格保有者の配置を入札参加資格として求められることや総合評価落札方式において評価対象とするなどの措置を通じて活用が進められるなど、地質調査技士は活動フィールドが広がるとともに寄せられる期待も一層高まってきているといえます。

地質調査技士は社会的信用度も高く、就職や転職に有利であるため、資格取得後はデベロッパー、ハウスメーカー、官公庁などへの地質調査、設計施工管理などで活躍できます!
地質調査技士の年収
地質調査技士の平均年収は400万円~700万円になると言われています。資格手当や資格を取得するための援助制度が有る会社も多く、待遇面は良いものと思われます。

建設現場での地質調査に加え、近年では環境に対する調査なども行っており、コンサルタント業として年収が高額になるところもあります。
まとめ
建築物の巨大化・高層化が著しい昨今では、ボーリングなどの地質調査が重要性を増しています。震災後には特に地質レベルでの耐震性もより重視されるようになりました。また、最近は建築だけでなく地下水汚染調査などの環境分野でも需要が高まっており、将来性のある資格となっています。
土木系の工事に従事される方や建設会社社員の方なら取得しておきたい資格のひとつですよね。おすすめの資格ですので、今回興味を持たれた方はぜひ取得を目指してみてはいかがでしょうか?
本日はここまで!以上、あすかでした!