お洒落なだけじゃない!機能性あふれるレンガ造りの建物
Construnction Industory Media

こんにちは!POPCONEインタビュアーのなっちです!
アンティークな雰囲気を感じるレンガ造りの家。レンガ建築は人間の文明とともに始まりました。日本でも明治時代にレンガが大量生産されるようになり、各地に赤レンガの建物がつくられました。最近ではレンガの家を建築できる工務店や施工業者が増えている事もあって、どっしりと風格のあるレンガ積みの家を建てたいという家庭も少なくないそうです。

住宅として見かけることは少ないレンガ積みの家ですが、実は見た目がお洒落なだけではなく機能性にも優れています。今回はそんなレンガについてお話したいと思います。
目次
レンガとは
レンガは粘土や頁岩、泥を型に入れて窯で焼き固めたり、圧縮して作られる建築材料です。通常は赤茶色で直方体をしており、日本においては一般的な製法を用いた普通の粘土でつくられる普通レンガ(赤レンガ)と、用途に応じていろいろ材質を違えてつくられる耐火レンガに大きく分けられます
日本においてレンガ建築の技術は近代化とともに導入されましたが、関東大震災で多くの建物が被害を受けて「レンガは地震に弱い」という評価が定着し、使用されることが少なくなりました。
今ではレンガの種類も増え積み方もさまざまに発達したことから、湿度や降雨量に関係なくあらゆる地方で建材として使用できるようになり、需要も増えています。

確かに最近は流行のカフェや新築でもレンガ造りの建物を良く見かける気がします。ここからはそのレンガがどのように作られているのか、製造方法や種類などを詳しく見ていきましょう!
レンガの製造方法
レンガは下記の方法で作られています。
- 素材加工
- 成形
- 乾燥
- 積載
- 焼成
- 選別、検査

レンガを製造するためにいくつもの工程が必要です。手間暇をかけて作られているレンガだからこそ、独特の風合いを楽しむことができるかもしれませんね
レンガの種類

私たちの日常で使用されるレンガには、大きく分けて3つの種類があります。
- 耐火レンガ
- 敷レンガ
- レンガタイル
耐火レンガは文字通り火に強く、窯などに使用されているものです。敷レンガは主に一般の道路や公園の舗道などに使用されています。最後のレンガタイルは建造物の壁などに装飾用として使われています。
積み方

代表的なレンガの積み方には下記の4種類あります。
- フランス積み
- イギリス積み
- 小口積み
- 長手積み
ポイントは、いずれの方法でも芋目地(いもめじ)ができないように工夫されていることです。芋目地とは、縦方向(地面に向かって垂直方向)の目地(レンガ同士の接触面)が一直線に並ぶことです。目地が縦に一直線に並んでしまうと、地震などの外からの力に対して弱くなり、崩れやすくなるからです。
なお1つのレンガで、長細く見える側面を「長手」、やや正方形に見える側面を「小口」と呼びます。

これらの積み方は用途や場所に応じて考えられています。ここからは積み方別の特徴や代表的な建築物をご紹介します。
積み方による特徴とその建築物
フランス積み
フランス積みとは、一段の中に長手と小口を交互に並べていく積み方です。すべての段に長手と小口を交互に置くことで、下から上の方向を見ても長手と小口を交互に置いたようになり、美しく見えます。フランス積みが採用されている代表的な建築物に世界遺産としても有名な「富岡製糸場」があり、明治時代後期以降の建物に多く採用されています。
イギリス積み
イギリス積みは長手だけの段と小口だけの段を交互に積んでいく積み方で、フランス積みよりも強度が高くて使用するレンガも少なくて済むため、経済的です。代表的な建築物に世界遺産である広島の「原爆ドーム」があり、そのほかにも土木建造物や鉄道の橋梁などに採用されています。
小口積み
別名「ドイツ積み」とも呼ばれる小口だけを使った積み方で、正面から壁を見た際にジグザグに見えるようにレンガを置いています。代表的な建築物には、「近代建築の父」辰野金吾が設計した東京駅(一部)があります。小口だけを使っているので、壁を曲面施工することに適していて、レンガを円筒形に積むことも可能です。
長手積み
名前の通り長手だけを使って、壁を縦に見た際にジグザグに見えるように積む方法です。同じレンガを縦に積むか横に積むかの違いだけなので、小口積みとは構造的にほぼ同じ積み方です。ただし、壁の厚さが薄くなるので強度の面では小口積みよりも劣ります。代表的な建築物には、横浜開港50周年を記念して造られた横浜市開港記念会館があります。

今までは積み方などあまり意識してみる事がなかったのですが、積み方による強度の違いはもちろん、建物全体の印象も大きく変わりますね!とても興味深いです。
レンガの魅力
木材や石材が不足していた古代メソポタミアやパレスチナではレンガは主に使われていた建材でした。古くから伝わる有名な建築で使われることも多く、そのような異国的な情緒や芸術性がレンガ造りの建築物の魅力と言えます。ヨーロッパのお城のような風格や気品のある佇まいはレンガ造りでなくては実現できません。
さらにレンガの主な原料は人工物ではなく自然に採れる素材です。また、下記のような多くの特性を持っています。
- 耐熱性
- 保温性
- 断熱性
- 圧縮
- 曲げ強度
- 耐水性
- 耐摩耗性
- 耐久性
- 低吸水性
このように他の建材に比べて品質の面からもコストの面からも、群を抜いて優れた理想的な建材なのです。また、ピザやパンを焼く窯に使用されていることからもわかるように、熱や紫外線に強いという特長も併せ持っています。
耐久性
多くの古き建築物からもわかるように、レンガの寿命は100年以上で、耐久性はほぼ半永久的です。日本でも東京駅を初めとする歴史的建造物がほぼ建造当時のまま残っているのも、使用されているレンガの耐久性によるところが大きいといえます。
メンテナンスの必要性
戸建住宅などでも大切なのが特に外壁のメンテナンスです。モルタル吹付けや左官仕上げ、サイディングなど一般的な外壁の場合はメンテナンス費用が100万円単位でかかる上に大体10年周期で必要になるケースがほとんどです。
一方レンガ積みの家はそのようなメンテナンス費用はかかりません。ヨーロッパの趣きのある家を見ると分かるよう外壁レンガは古くなればなるほど、深みを増します。3世代が余裕を持って住み続けられる長持ち住宅です。
レンガ造りの家
私たちが目にする歴史的なレンガ造りの建物の建築当時は、レンガ同士をモルタルで接着することが一般的だったため、大きな地震の際に崩れ落ちる問題がありました。それが近年では、レンガ内部に基礎からの鉄筋を通す穴を設けることで強度問題を解決できるようになっています。日本の気候風土に適するようさまざまな建築技術が年々改良されており、住宅としても広く普及しています。

一般住宅より初期コストはかかるようですが、長期的なトータルコストや機能性を考えると一層レンガの魅力にひかれますね!
国産のレンガ
国内では比較的需要が少ないため大規模な工場は少なく、家内工業的に生産されていることもあり価格競争力は今一歩です。表面のデザインなどもオーストラリアやヨーロッパ各国に比べるとバリエーションも少なめです。
しかし近年では赤レンガを耐熱レンガ以外にも、黒レンガやアンティークレンガ、セラミックレンガなど需要の増加とともに種類も増えつつあります。
インテリアとしてのレンガ
レンガ造りの家までとは行かずとも、インテリアでレンガを楽しみたいという方も多くいます。室内の壁をレンガで囲ったり、あるいは一部分だけをレンガにすることでお部屋に重厚感を加えることができます。キッチンカウンターや洗面所など、ヴィンテージテイストやスタイリッシュな空間も演出できます。ただその後リフォームしにくいというデメリットもありますので、事前にしっかりとどんな空間にしたいのかを明確にして計画することをおススメします。
また、とにかく低予算で仕上げたいという場合はレンガ調の壁紙という選択肢もあります。もちろんレンガの持つメリットは発揮されませんので、メンテナンスフリーというわけにはいきません。あくまでもレンガの雰囲気を楽しむアイテムとして考えましょう。

最近の壁紙は本物のレンガと見間違えることがあるくらい精巧に作られているものもあります!安価なものも多く、気軽に新しいものに変えることもできるので良いですよね!
まとめ
レンガは優れた特性を持っていて、日本の有名な建築物にも多く使われています。文化財として残るレンガの建物を見れば、その強い個性と独特の味わいに魅せられることでしょう。現在もレンガ造りの家が建てられていますし、レンガ造りの花壇をつくったり庭にレンガを敷いて小道をつくっている家も見られます。

時間の経過とともに趣が増す表情豊かなレンガはその美しさや風格だけではなく、機能的なメリットも多くあり、長く愛される住まいをつくるのに素晴らしいアイテムです。素材の味わい深さを楽しみたい方にはぜひ生活に取入れていただきたいですね!
以上、なっちでした!次回もお楽しみに!